2008/08/25

雨と停電とチェブジェン(ジルンダにて)


北の方から黒い雲が流れてきたのは夕方6時過ぎだった。

「雨が来るぞ」と向かいに住んでるおっちゃんが静かにつぶやいた。

雲は瞬く間に村全体を覆い、やがて大粒の雨が降り始める。

村人は急いで家の中へ駆け込む。


雨は止むことなく降り続け、やがて日が暮れた。

そこで一つのことに気づく。

電気がない。停電だ。

太陽光発電が行われているジルンダ(スペインの援助でつくられたらしい)ではフィムラに比べると停電は少ないのだが、こういう雨の日に限って停電になったりするのだ。


「夕食の時間よ」とお姉ちゃんが家族を呼びにきた。

(ちなみにジルンダでは女性グループのおばちゃんの家で寝泊まりさせてもらっている。)

家族が玄関口に集まり、チェブジェンを囲む。

雨が降ろうが停電になろうが、家族で夕食を囲むスタイルは変わりないのだ。

闇の中のチェブジェン。

口にするまで、自分が何を食べているかわからない。

やったことはないけど、闇鍋ってたぶんこんな感じなのだろうと思う。

稲光が我々にヒントを与えてくれるかのように時々光る。

「魚はここにあるよ!」「人参はここだよ!」というように。


雨と停電とチェブジェン。

おそらく日本では経験できない類いの夕食であった。

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