北の方から黒い雲が流れてきたのは夕方6時過ぎだった。
「雨が来るぞ」と向かいに住んでるおっちゃんが静かにつぶやいた。
雲は瞬く間に村全体を覆い、やがて大粒の雨が降り始める。
村人は急いで家の中へ駆け込む。
雨は止むことなく降り続け、やがて日が暮れた。
そこで一つのことに気づく。
電気がない。停電だ。
太陽光発電が行われているジルンダ(スペインの援助でつくられたらしい)ではフィムラに比べると停電は少ないのだが、こういう雨の日に限って停電になったりするのだ。
「夕食の時間よ」とお姉ちゃんが家族を呼びにきた。
(ちなみにジルンダでは女性グループのおばちゃんの家で寝泊まりさせてもらっている。)
家族が玄関口に集まり、チェブジェンを囲む。
雨が降ろうが停電になろうが、家族で夕食を囲むスタイルは変わりないのだ。
闇の中のチェブジェン。
口にするまで、自分が何を食べているかわからない。
やったことはないけど、闇鍋ってたぶんこんな感じなのだろうと思う。
稲光が我々にヒントを与えてくれるかのように時々光る。
「魚はここにあるよ!」「人参はここだよ!」というように。
雨と停電とチェブジェン。
おそらく日本では経験できない類いの夕食であった。
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