しかし、筆者はあえてセネガルとしての国家誌を書いている。
多くのアフリカ諸国が独立したのは1960年以降。独立から約半世紀。
もはや、国家の一部である一つの民族だけを描いていればOKということにはならない。
国家と民族は相互に影響し合っているのである。
セネガルにおいてイスラム教徒と政治・経済の結びつきは強い。
本書では特にムーリッド教団(セネガルのイスラム教団)と植民地政府および独立後のセネガル政府との関係が詳細に書かれている。
国内のいたるところで見受けられる職人達の師弟関係の記述は面白い。
フランスの教育システムをそのままそっくり輸入したセネガルでは、いわゆるおちこぼれが多数存在し、小学校から中学校の進学率もかなり低い。職人達は公権力に俗さない(税金を払わない)インフォーマルな経済活動をする人々である。こういったインフォーマルな人々が落ちこぼれを救い、食事等の面倒をみながら技術を伝えているのである。
セネガルに興味がある人はぜひ一読。
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